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匠工芸 「ギルド・クーチェスト」塗装に技あり

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ギルドもクーチェストも塗装で木材に着色をほどこし
塗装をしています。

近年、特に良い木材の量が低下しているため、
色目的に優良ではない材料も、塗装の技でカバー
して製品としているケースが多いのですが、
特にギルドの場合は塗装での着色技術が
生かされ製品となっております。
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クーチェストの場合は、ホワイトアッシュ材の
美しさや質感を有効に表現するために、
着色をほどこしております。
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クーチェストは、長らく匠工芸の商品開発は
男性のデザイナーや担当者が行ってまいりました。

そんな中で女性目線の商品を開発したいと,
以前よりつながりのあった女性デザイナーの
伊藤さんに提案を依頼したとのことです。
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ホワイトアッシュの材質感を生かした面白い
商品となっていると思います。
また、着色した部分もホワイトアッシュの木目をひきたて、
一見、和風になりがちの着色塗装を、
ライトな洋風な家具にまとまっていると思います。
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サイズ的にもいろいろなスペースやシーンに使える
用途の広い商品となっています。
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ギルドは、当時私が担当して商品化しました。
当初、東京の百貨店問屋より東京のデザイナーの
案としてギルドの原案が示され、その案に沿って
中井氏によって設計試作されましたが、
大きいサイズやすべて無垢材を使用し、
貴重材のカリン材や神代タモなどを使った
提案のためか?、、、、
値段的に非常に高価なものとなったためか?、、
一度お蔵入りとなっていました。
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この写真は、発売当初ラインナップされたキャビネットタイプです。

その後、私が入社したあと
ギルドをデザインしなおしてみる案が、
当時の営業部長より提案され、私の方で
デザインしなおしたスケッチを描き試作してみました。
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最初はイライラボックスの小引出は
付いていませんでしたが、社長の提案で小引出を
追加し、中井氏のアドバイスなどを受けながら、
コストを極力下げるための設計をし直し、
引き出しの材質感からくる、カラフルな色彩を
着色塗装で再現し商品化にこぎつけました。
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ギルドの商品化の肝になった着色塗装で、
貴重材の風合いを再現することで、製品としての
安定供給につながっていると思います。
また、近年材料の質の低下をカバーして、
生産し続けられているのは塗装技術の貢献が
非常に大きいのではないかと考えます。
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木製品、特に家具は何でも無垢材を使うのが
良いとは限りません。
森林資源には限りがあります。
貴重な木材を使って製品を作るには、
材料の適材適所を考えて作ることが大切です。
さらに、生産加工技術においても
同じようなことが言えます。
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技術や人材もまた貴重な資源ですので
適材適所はもちろん、技術や人材に見合った
対価を得られるものづくりをすること。
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貴重な技術・人材資源を絶やさないための継承を
続けることが、ロングライフな製品づくりには
大切な事だと思います。
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テーマ : 雑貨・インテリアの紹介
ジャンル : ライフ

匠工芸 オリジナル製品の一号は「キバン」

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 匠工芸のオリジナル商品の1号製品は「キバン」になります。
原作は中井啓二郎氏が試作。
当時の日本クラフト展で中井氏が協同製作の
丹野則雄氏と一緒に新人賞を受賞した作品です。

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 当時、協同製作にあたった丹野氏によると、
受賞の知らせを受けた後で中井氏は
「なんだ、新人賞か大賞でないのか」と言い放ったと聞きました。

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 つまり、旭川で製作活動をしていたクラフト作家で、
中井氏は全国レベルの製品レベルを理解して
ものづくりをしていたことが解ります。

 先に書いたように中井氏が試作後、
丹野氏(木の名刺入れや箱で有名な作家)が
細部を修正し商品化をするべく匠工芸で試作、
当時丹野氏は独立間もなく、隠れ匠工芸社員だったようで
匠工芸の仕事を手伝っていたようです。

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  「キバン」の中のキャンバスの小物入れポケットは、
丹野氏の奥様が縫製されたとのことです。
この「キバン」の中井氏との共作製作の活動より丹野氏は、
現在の「木の箱」づくりの仕事につながっていったとのことです。

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 丹野氏の精巧な「木の箱」づくり、独特の他に類を見ない、
木材の細密精巧な加工製品につながっているようです。
私も長年、丹野氏の名刺入れを愛用し、
使うほどに味わいの出る名刺入れやペン立などを愛着しています。

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 本体の箱は、中井氏があり組で製作し、
木の弾力性を生かしたロック機構の原型を提案し、
丹野氏が木バネそのままのロック機構では部品が折れかねないので、
保護するための二重構造を提案し、
「キバン」独特の木の弾力を生かしたロック構造を完成させました。

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 その他に丹野氏が改良した点は、
箱の内側に取り付ける木製のステー形状や長さや、
持ち手の面取りや断面形状などを手掛けたそうです。

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 その後、中井氏と丹野氏の共作活動は、
北海道立近代美術館で行われた
「はこで考えるーあそびの木箱」展の奨励賞へと続きました。

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そのごの丹野氏の造形活動がこれらの中井氏と
の共作活動かきっかけとなっていることは、
製品を見ればよくお解りになると思います。
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 さらにもう一つ、匠工芸で「キバン」の生産を当時社員だった、
バウ工房の大門氏がよく担当していたとのことです。
今から思うと、「キバン」はなんと贅沢な人材の
共同作業より生みだされていた製品だったのか!

 製品開発の場では、デザイナー個人や企画者や
ディレクターなどの個人的な感が良いアイデアを
出すように思われますが、良いアイデアは
いろんなところに転がっています。
そのアイデアたちに気が付き、拾い上げ、ものになるように
試行錯誤、創意工夫を重ねることが良い商品になる可能性を高めます。

 その上では、商品開発で複数の人たちの良い関係による共同作業が、
良い製品をコンスタントに生み出される源と私は思います。
 少なくとも今までの私の仕事の中ではそうでした。

 その場合、重要になるのは関わる人たちの、
他者の意見やアイデア、思考に耳を傾け注視し、
お互いの人間性を尊重しあい
謙虚にものづくりに取り組むことだと思います。

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 そういった意味で、「キバン」での中井氏と丹野氏の話から、
お二人には互いを尊重しあう人間的な器の大きさがあり、
それが良い関係の共同作業につながったのではないかと推察されます。

テーマ : 日用品・生活雑貨
ジャンル : ライフ

匠工芸 「アニマルスツール」心をいやす休息家具

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 私の勝手な見解ですが、「アニマルスツール」は休息家具の
新しいジャンルを作ったのではないかと思っています。
スツールといえば作業用家具の一種ですが、「アニマルスツール」は
ペットのように、使う人の心を休息させる、あるいは癒しをあたえる
家具だと思います。

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 アニマルスツールの張地は、アクリル・ポリエステル製の
フェイクファーを使用しています。
通常、椅子張りに用いる張地と違い、毛足が長く張地として使うには、
いろいろと厄介な素材です。

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 裁断の際は、長い毛足を切らないように注意が必要ですし、
縫製の際は縫い合わせ部に毛が巻き込まれるので、
縫製後は櫛で巻き込まれた毛足を引き出すなど、
手間と張地の扱いに慣れが必要とされます。

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 ちなみに櫛は、ペットのトリミング用の櫛を使っているそうです。
張りの途中や張り終わりなど毛並みを整えながらの作業となるため、
ペット用の櫛は大活躍です。
 処理した毛の掃除や裁断して舞い上がった毛を吸わないよう
マスクをしての作業なども大変です。

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 張りの作業としては、張地の裁断、縫製後は脚にクション用の
ウレタンフォームを貼り付け、縫製した張地をかぶせ、
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裏面にタッカーで打ち止めて行きますが、毛足の長いフェイクファー
ですので毛足を打ち止めないよう、素地の布だけを打ち止めて
張り上げるのが通常の張り作業にない難しい作業のようです。

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 また、張りの加減で高さや形、左右対称に仕上げるなど、
通常の張り作業でも要求される精度もアニマルスツールの場合、
可愛さを売る商品ですのでシビヤになるようです。

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 張りの担当の職人はこの張りの仕事の中でも、
まとめて数十台張り上がってきたスツールに囲まれると、
仕事中でも癒されるとのことです。

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 想像してみてください、数十台のアニマルスツールに
囲まれている光景を、そりゃーほのぼのとしてきちゃいますよね。

animal GM

animal G

 張地の種類は4種類、カタログの写真ではあまり感じませんが、
実物を見るとそれぞれの張地の違いで、かなり個性が出ます。
実際に見て触れてみるとよくわかりますが、色や模様はもちろん、
毛足の長さ、硬さ、弾力性などでそれぞれにかなり個性が強くあります。

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 汚れたら優しく布でふき、手入れはペット用の櫛などを使うとよいようです。
ペットの犬などで服を着せたりしますが、カバー代わりに服を着せて
楽しむのも良いかもしれません。
 弱点はペットと同じくしっぽです。強く引っ張りすぎないようにとのことです。

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 単に体を休める休息家具だけでなく、ペットが人をいやすように、
インテリアが人の心を癒す手助けになるような、休息家具が
必要とされる時代が来ているのだな~~なんて、
アニマルスツールを見るたびに感じます。

匠工芸 早さとチームワークで作る「ウッドペッカー」

テーブルセット2

ウッドペッカーで使われている主要材料は、
ハードメープル材です。
ハードメープル材による整形合板で
ルーローの三角形を作っています。
ハードメープルは家具用の木材の中でも
かなり暴れやすい材料です。
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暴れやすいとは、
家具で使う木材は加工中や製品になってから
狂ったり反りが出たりねじれたりしないように、
生の木を乾燥させ水分を10%以下に天然乾燥と
人工乾燥の機械で乾かして使っています。
生のままだと生ごみと同じように腐ります。
木材といっても、元は樹木、植物ですので生ものと
同じです。 
ですから、言ってみれば樹木のミイラを材料としているのです。
ミイラ化して腐ったり、風化したりすることを止めて、
木材が変形しない状態をなるべく作り材料としています。
そり2

 しかし、そうやって木材を乾かしても多少の湿気を吸ったり
乾いたり、温まったり冷えたりすることで変形したりします。
そういったことの大きく出ることを木材が暴れるといいます。
 そのように材料をよく乾かして使っても、
ハードメープルの場合、暴れが大きく出る材料のため
加工、組み立てにはスピードが要求されます。
それは、加工後時間がたてばたつほど狂いが
大きくなってくるからです。
狂い(暴れ)が大きくならないうちに加工して形にしないと
余計な作業がどんどん増えてくることになるからです。
整形 2

 ウッドペッカーの場合、ルーローの三角形をつくる
フレームの材料を整形合板で形にしています。
整形後、そのフレーム材は時間とともに
ドンドン曲りが広がってゆき、その後の接合部の角度切りや
フィンガージョイントの加工がしづらくなってゆきます。
また、ルーローの三角形に接合して
形にするのも難しくなってしまいします。
そのため、整形後はなるべく早く加工して
ルーローの三角形に組あげる必要があります。

ウッドペッカーの製造は副工場長が中心となって、
整形、角度切、フィンガー加工、フレーム組の
分担された一連の流れの作業を、チームワークよく
タイミングを見計らいながら一気に行っています。
ルーローの三角形のフレーム以外の部材も
ハードメープルを使っていますので、それらの扱いも
同様に気を使って製造しなくてはなりません。
フィンガー2

このように、スピーディーに生産していても
ハードメープルの場合、変形が出てきますので、
接合部の角度切やフィンガー加工は、変形して曲がった量を
調整しつつ加工を行います。
そういったところが職人の技量と勘が必要になる
ところになります。
海外で安く生産できない、旭川の高品質なものづくりが、
こういったところにも見え隠れしています。

材料に気を使い、人やチームワークに気を使い、
速さに気を使い、製品の仕上がりに気を使い、
お店に並んでいる状態に気を使い、使う人に気を使い、
手をかけて製造し、製品のクオリティーを管理するところが
旭川家具だなーと私が思うところです。

ちなみに、よく形はかっこいい製品が、
お店に並んでいて、空調の関係や気候によって
接合部が切れていたり目違い(段差)が出ていたり、
あまり見た目の良くない材料を表の見えるところに
使っていたりする製品を、お店で見かけることがあります。

デザイナーや製造者が意図していないクオリティーの
製品を見かけると、これで良いのだろうかと
いつも疑問になってしまいます。

テーマ : 生活・暮らしに役立つ情報
ジャンル : ライフ

匠工芸 ウッドペッカー

ウッドペッカー/ブラウン2
 「ウッドペッカー」のデザイナーは
フィンランドのミッコラさんです。

 ミッコラさんは、1993年の国際家具デザインフェア旭川の
コンペで木のハンモック「カラニ」で銀賞を受賞されました。>

木のハンモック


 当時、社長が木のハンモックを商品化できないか?
ミッコラさんに問い合わせたりし中井さんが検討してみたり
しておりました。

 私が匠工芸に在籍していた時でよく覚えております。

 しかし、諸事情で木の八モックの商品化は断念となりました。

 その時の縁がきっかけで、「ウッドペッカー」の
商品化についての話をいただいたとのことです。

02 のコピー2


 その結果、私が退社したのちですが中井啓二郎氏の
手によって、日本人の体形に合わせたサイズ等になおし、
前傾姿勢時に止まる角度などを修正し商品化に
こぎつけたとのことです。

 海外のデザイナーのデザインを購入して商品化する場合、
西洋人の体形と日本人の体形の違いからの
デザインや寸法の見直し、構造設計や加工機械の
違いから起こる生産方法の変更、さらに販売先や
契約内容など、検討確認や了承事項など商品化に関係する
作業は多岐に及びます。

 この商品の場合は、中井氏がわざわざフィンランドまで
出向き、内容を詰めて契約し商品化に至ったようです。

テーブルセット2

 当時、ミッコラさん自身も「ウッドペッカー」を現地の工房を
使い生産し現地で販売をしたりしていたようです。

 何より私がこの製品の好きなところは、作業したくて
前傾した時にぴたっと止まり安定し、
ゆっくり休みたくて後ろによりかかると
心地よくロッキングし、リラックスできるところです。

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 前傾時にピタッと止まる構造は、中井氏により修正され
オリジナルよりはっきりと止まるようになっているようです。

 日本人の感覚に合わせて修正したのではないかと
思われます。

 私個人としては、この止まって安定する感覚が
大好きです。

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 仕事を辞めて、プーでなければ私もほしいくらいです。
パソコン作業を仕事でしている妻などは大絶賛です。
購入するときは2脚買わないと取り合いになりそうです。

 いずれにしても、中井氏による日本人の体形に
合わせた設計の修正が成功している製品です。

 海外のデザイナーや外部のデザイナーから
デザインを購入して製品を開発する場合でも、
内部のデザイナーや設計者の調整作業や、
設計や製造方法の検討や変更など、
あるいは販売ルートの確保などの仕事が
大変重要となります。

 良いデザインを購入できたとしても、
その辺の作業が商品としての正否を分ける
場合があります。  

 内部と外部の開発スタッフにおける信頼関係
といいますか、パートナーシップについて
昔からよく考えさせられるテーマです。

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